【書評3】ファクトフルネス ハンス・ロスリング 

公衆衛生の専門家であり、TEDトークなどでも活躍した、今は亡き、この本の著者、ハンス・ロスリングというスウェーデン人の医師にまずは感謝したい。この本は彼の最後の著作であり、起業家、ビジネスオーナーとしての私の目を大きく開かせてくれる1冊であった。私のこれまでの経験は、高所得の国での体験に限られており、偏っていたのだ。特に、中所得と高所得の国に住む人口を合わせると50億人に上るという事実には驚いた。高所得の国で毎年、進歩発展が見られるのと同じか、それ以上のスピードで、中低所得の国でも進歩発展が続いている。世界全体を対象に考えれば、ビジネスのポテンシャルが、非常に大きく、更に拡大していることを、多くの事実をもとに私に気づかせてくれた。中低所得の国では、生活水準が上がるにつれ、生活必需品に加えて、スマートフォンなどの購買意欲も高まっている。そういう人たちを「貧困層」だと思い込んでいるうちは、ビジネスチャンスに気づけないのだ。

この本に出会って初めて、私は世界の進歩発展を誤解していたと言うより、完全に見誤っていたことに気づかされた。これまで私が目にしてきたニュースや記事のおかげで、私は先入観や偏見を持ってしまっていたのだ。やはり、ニュースでは極端な事例を目にすることが多い。そのため、自然と両極端に分断された世界の姿をイメージしてしまいやすいが、事実はそれほどドラマチックではなく、もっと多くのレベル、大まかに分けても4つのレベルに分かれていることを学んだ。

次に、多様性を前提に物事を考えるということについてであるが、性別や年齢、国、宗教だけでなく、所得水準が違うと、考え方や生活様式が大きく代わるということを学んだ。ビジネスの観点からは、相手のニーズを掴むために、相手のことをよく理解する必要があるが、この本ではビジネスの対象となり得る50億人が、世界にどのように分布し、これまでどのように所得水準を切り上げてきたかを学べる。所得レベルごとで、異なる人のニーズを意識して、ビジネスに取り組むことで、新たに見えてくるものがあるだろう。多様性を前提に物事に取り組めば、視野を広げることができると思う。

最後に、世界はゆっくりとではあるが、着実に良い方向に向かって進歩しつつあるという事実を学んだが、これは投資についても当てはめて考えることができる。所得レベルが上がることによって、投資機会も増える。アジアやアフリカの多くの国で起きている変化が、いかに自分たちに関係するかを考えながら、これからの世界の変化に対応していくことが大切だ。最新のデータとトレンドを元に客観的な分析で世界を正しく捉えることができれば、投資チャンスに気づけるかもしれない。世界中の垣根が低くなってきているのだから。


FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ]

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 大手証券会社の東京オフィス→香港→パリ→サンフランシスコオフィスで法人営業→サンフランシスコで脱サラし、開業した飲食店が繁盛店に→コロナショックで日本に撤退→Web制作とデザインの勉強を始める。→飲食店向けに特化したサブスク型のホームページ制作サービスを立ち上げ。