【書評7】人生逃げ切り戦略 やまもとりゅうけん

「人生を逃げ切る」とは、「経済的な不安が限りなくゼロに近づいた状態」かつ「面倒な人間関係や誰かに決められた場所・時間に縛られない状態を言う。私はこの本を読んで、20年ほど前のベストセラー「金持ち父さん、貧乏父さん」を思い出したが、その現代版で、かつ、より再現性の高いものと捉えている。著者のやまもとりゅうけんさんは、日本最大級のオンラインサロンである「人生逃げ切りサロン」のオーナーで、元エンジニアのインフルエンサー(ブロガー兼YouTuber)だ。彼の情報発信は初心者向けがほとんどで、本気で学んで実践すると人生が変わるほどのインパクトをもたらす内容になっている。しかも、彼の情報は時代のトレンドに即しているものばかりなので、副業を探している人には非常に参考になるだろう。ブログ、プログラミングなどネット系のビジネスが大半だが、せどりというネットとは直接関係のないビジネスについても紹介がある。今は、ネット上で副業に関する無料で質の高い情報が豊富だが、逆に多すぎて、どう絞り込んでいったらいいのか悩ましいと感じる人も多いのではないか?その際には、本書が自分にあった副業を見つける指針となるであろう。

やらない理由がないくらい、「個人」で稼ぎやすくなっていると著者は言う。テクノロジーの進化とサービスの普及に伴い、個人が個人に課金することが一般化したからだ。稼ぐ力は「能力」ではなく「ポジショニング」にある。また、収入が少ないうちは、稼げる自分に変化するためにお金を使おうと、読書などの知識への投資を勧めているのは正論だ。その上、人間は意志が弱いということを前提に「意思力」に出来るだけ頼らないように、「仕組み」を作り、それを「ルーティン」化していくことを勧めているのはさすがである。稼げるようになるまでは、慎重なメンタルコントロールが必要なので、ノイズをシャットアウトできる環境に自分の身を置くことが大切。しかも、最短で稼げるようになるには「個人で稼ぐ」ことを最優先に行動することに限る。

効率の良い勉強法は「まずアウトプットありき」。自分が行動を起こす前にインプットするよりも、行動を起こしてからする方が、情報収集効率が高い。その際には、お金が流れ込んできている場所で勝負すること!商売の世界では、「なんでもできる」ことには価値がそれほどなく、何かに「特化」していることに価値がある。新しいことに挑戦していけば、人間としての幅も広がる。「成長し続けなければならない」と考えるより、「マイペースで成長していけば良い」と考えた方が、長続きする。

副業を選ぶときは、「自分の強みを活かそう」としてはいけない。なぜなら、そうすることで自分の可能性を狭めてしまうから。人の「強み」「弱み」は、その人の思い込みに過ぎないこともあるので、先入観を取り払い、「好きなこと」「自分の得意なこと」より先に、「稼げるプラットフォーム」で「稼げるスキル」を磨くことが大切。「やりたいことを仕事に」は理想だが、「夢」は後からでも叶えられる。経済的に豊かになって、人脈を築き、選択肢を増やしてから「夢」に挑戦した方が、むしろ近道ではないか。

「努力さえしていれば報われる」と考えるのは危険。「努力しないと結果が出ない市場」は、「レッドオーシャン」であるということ。「稼げるかどうか」は「努力の量」ではなく、「市場の選定」でほぼ決まる。お金が流れ込んでいる場所で勝負をすれば、少ないコスト、少ない努力量でも勝てる。「ラクして稼ぐこと」こそがマーケティングの本質。自分が勝てる場所をいかに見つけ、そこでいかに速く行動に移すか。そのための準備を普段から怠っていない人間だけが、富を手にすることができる。これがビジネスの世界。個人の時代だからといって、他者との関係性を捨てて良いわけではない。なぜなら、個人で事業を大きくするには限界があるから。新たな事業のタネを拾い続け、それを育て、個人としての限界を突破していくには、「個人」を超えて「チーム」を作っていく必要がある。AI時代の対策としては、話芸や歌など、人間にしかできない強みを加えていくこと。「行動を起こす」とは「自ら情報を取りにいく」こと。我々としては、実践あるのみ!

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 大手証券会社の東京オフィス→香港→パリ→サンフランシスコオフィスで法人営業→サンフランシスコで脱サラし、開業した飲食店が繁盛店に→コロナショックで日本に撤退→Web制作とデザインの勉強を始める。→飲食店向けに特化したサブスク型のホームページ制作サービスを立ち上げ。